円盤が飛んできた。
――いや、ほんとに。
昨日の話。
我が家と反対方向、遠くに出張だったのでそのまま直帰していた。
1日の仕事を終え、落ち着いた心持ちで帰路についていたのだ、私は。
家の近く、山道を走るマイカー新型セレナ。
青いボディを夕日に照らされながら、彼も気持ちよく走っていたことだろう。
右カーブを軽やかにクリヤし、少しの直線に差しかかった時、それが起こる。
シルバー商用バンの対向車に遅れて、その円盤が縦になって飛んできた。
いや、実際は転がり、ハネながら向かってきているそれは飛んではいないのだろうが、こっちも走っているのだ。
法定速度同士であったとしても、100km/h弱のスピードで円盤がチェインソーのように来る。
何かが飛んできたように見えた。
避けられるはずもなし。無情にも鳴り響くそれ。
ガシャーーーン
「痛って!!」というセレナちゃん(車)の声が聞こえてきそうである。
バックミラーには何やら飛び散る破片、と円盤。
「マジか…」
対向車はそのまま逃げていく。いや、気づいていないというのが正解だろう。
自走できているということは、タイヤつきのホイールではなく、飛んできたのはホイールカバーか。
細さ的にもそうに違いない。
止まってUターンして追いかけるにしても、あまりに山道。
切り返している間に、もう一つ事故を起こしそうである。
ドライブレコーダーに頼るしかない。
対してこちらに被害がないよう祈っていたが、残念。

バンパーが割れていた。
「警察に相談する?」
カミさんの言葉だ。
うーん…。
相談するにしても「物損事故として届け出がしたい」という感じだろう。
ドライブレコーダーの映像データを解析してもらうにしても、相手が見つかるかどうか。
一応ドライブレコーダーの映像を確認する。

飛んできている円盤も微妙な写りだ。

うーん、バックの映像も、なんとなく破片が飛んでいるのは分かるが、ナンバーまではなかなか分からない。
警察の方が解析してくれたら分かるのかもしれないが、分かったとして、相手からいらない恨みをかっても面白くない。
何より、
山をおりて警察署に行く、手続きする、相手が見つかって話し合う、また手続きする、賠償どうのこうの…
何から何まで面倒だ。
「んー…めんどくさい」
「そうよね。セレナのバンパーにヒビがいったくらいでよかったじゃない。」
確かにな。
向こうのホイールが本当に外れてて、制御を失ったバン自身が突っ込んできていたら、それこそ命はなかったかもしれない。
ホイールカバーも外れて壊れて、残念だっただろう。自業自得だが。
バンパーの修理代ぐらい笑いとばす度量があってもいいか。
次の日(今日)、朝の通勤、件の現場についた。
「ホイールカバーが、無ぇ。」
さては、取りに来たか。
昨日は戻ってればよかったのかな。
……後の祭りだ。知らんけど。