さすがは成瀬。さす成、さす成だ。
帯に『シリーズ堂々完結!』と書かれているが、正直完結したとは思えない。
思えないというか、「信じたくない」の方が正しい。
【引用】会長が、
「京都を極めることなど不可能ではないかと思ったのだ」
と蒸し返す。本気で琵琶湖疏水に突き落としてやろうかと思った瞬間、成瀬氏はおもむろに会長を見上げた。
「わたしは大きなことを百個言って、ひとつ叶えばいいと思っているんだ」
街灯に照らされた成瀬氏の横顔からは確固たる意志が感じられて、私たちには到底届かない場所にいるように見える。
「みんなは『極める』という到達点に着目するのだが、わたしはそこに至る道が重要だと思っている。ゴールにたどり着かなくても、歩いた経験は無駄じゃない」
【出典】株式会社新潮社『成瀬は都を駆け抜ける』P70-71 著:宮島未奈
この後、語り部である梅谷誠は身震いするのを感じるのだが、私も身震いした。
こういう生き様がかっこいいのだ、成瀬は。
そして、自分が無駄だったと思えるような毎日の瞬間をも、あたたかく包んでくれる。
どんだけ伝えても、どれだけ感じとってほしいと接しても、子どもにまったく響いていないときばかりだ。
教育。今すぐ結果が出ないことなんて分かっている。
人を変えようとするなんて、そんなおこがましいことはないとも知っている。
でも、何かしらの到達点に着目して、日々教師として仕事をしてしまう。
そこに届かない毎日だから、
「あぁ、今日も無駄な1日を過ごした」
なんて考える。
でも、「ゴールにたどり着かなくても、歩いた経験は無駄じゃない」と、成瀬はいう。
どんな日々でも、経験でも、意味づけなんて無限にできる。
そんな中でわざわざ「無駄」を選ぶことはない。
成瀬の1%でもいい。成瀬のように毎日を過ごしたいと思う。
成瀬―――好き――
知らんけど。
あ、ちなみに『成瀬は都を駆け抜ける』を読む前に、森見登美彦さんの『夜は短し歩けよ乙女』を読むことをオススメします。
都が、さらに楽しめます。

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