
『少年と犬』を読破した。
正直に話すと、章をおうごとに、
――この話、きらいだ――
その気持ちが増していった。
最後まで読み進めようと思ったのは、この本を薦めてくれた友だちがいたからだ。
その友だちは、東日本大震災が起きたとき、どんどんヒビ割れていく校舎の中で必死に恐怖を耐え抜いた人だ。
その後も、教員、公務員として被災地の避難所を運営し、被災した人たちの非難、悲壮感を受けとめようとした人だ。
自分も被災していたにも関わらず。
私は、阪神淡路大震災を中学生として経験し、
友だちは、東日本大震災を大人として経験した。
同じ被災でも、まったく違う経験を持つ友だち。
――その友だちがこの『少年と犬』を薦めるのだから――
そう思って最後まで読み進めた。
殴られた気分だ。
色々な別れを経験してきたが、自分はその別れの寂しさにフタをして生きてきたのかも知れない。
見ないように、見えないように絆創膏をして、いつのまにか見た目はなんとなく傷がふさがっている。
「もう大丈夫」
そうやって耐えてきた気がする。
向き合えていなかった。
だから、不幸や、理不尽、やるせない気持ち、別れに直面させられる話が苦手、
いや、きらいなのだろう。
『少年と犬』は、直接な言葉で読む人を救う場面はない。
でも、そのストーリーできっと、
「それでも生きていこう」
と伝えてくれた気がする。
章を追うごとに、「この話、きらいだ」と言った。
だが犬を飼ってみたいという気持ちは、読み進めるほどに不思議と増していった。
でも今は、私の心の中にも作中に出てきた犬の多聞(たもん)がいる気がする。
こんなにきらいで、こんなに好きな話は、初めてだ。
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