
ただ呑みたい気分なんだ。
それも梅酒を。
「しっかり、お別れをしてきてくださいね」
有給の許可を取りに行ったとき、校長がかけてくれた言葉だ。
休みをとって、お通夜にいく。
1月8日。
<ミニログ>
「弥っちゃん、肉食べに行こう。肉!」
「いや、もう帰らないと!」
「あぁ、そう??たまには付き合ってよぉ~」
そんな感じでいつも気にかけてくれていた先生だった。
「すんごい旨い梅酒見つけた。弥っちゃんもどう?」
一口乗った思い出。
一升の梅酒が届いたけど、ホントに美味しかった。
あっという間に呑んじゃったよな。
焼香の列に並ぶ。
ご親族に頭を下げ、先生の顔を見る。
今にも目を開けそうだ。
開けてほしい。
1月5日。
「ねぇ、これ弥一がよく知っている先生じゃない?」
亜弥(仮名:カミさん)のスマホに届いた訃報。

早すぎる旅立ち。
現職の校長先生。
まだ任期があったのに。
三度の焼香を終え、お別れを言う。
また一緒に呑みたかったです、先生。
焼き肉に、連れて行ってほしかったです、先生。
1月9日。
朝、亜弥が教えてくれた。
「告別式のあと、先生、学校に一度戻られるんだって。」
亡くなった後も、先生なんだ。
子どもたちとお別れをするのか。
私ならきっと、戻らないと思う。
でも、先生だったら、戻るような気がした。
「先生の遺志じゃないだろうに。なのに先生らしすぎる。」
そう思ったら、初めて涙が流れた。
そうか、先生は、「教師として壊れる前の自分」を知ってくれてた先生だった。
もう会えないのか。
変わってしまった俺を見せられないのか。
失望すら、してもらえないんだ。
今日の告別式にも出よう。
そう思った。