
1/10の夕方。
ベランダの向こうに広がるのは、ただの暗闇。
そこに、私の「あるもの」が消えていた。
話は午後3時に戻る。
恥ずかしいがあえて言おう。
布団が、ふっとんだ。
正確には、毛布だ。
隣家の裏庭までフッ飛んでいた。
実は隣の裏庭、かなりの距離がある。
空飛ぶ絨毯バリ。
空飛ぶ毛布になったとしか思えない。
「私の毛布!ネコがオシッコしてたらどうしよう!」
「どうしよう」なのに、怒れるあおば(仮名:中2娘)。
「大丈夫よ。匂いはしない」
なぐさめる亜弥(仮名:カミさん)。
「でも、外に落ちてたって事実が、私に匂わせるのよ!暗示なのよ!そう思っちゃうのよ!」
思春期だ。
「そんなことより取り込まなきゃ!僕の毛布」
かろうじてベランダつかまる毛布を見上げて、希一(仮名:小6息子)が叫ぶ。
亜弥と希一が取り込んでいる間、落ちているもの、風で飛んだものを戻した。
「これで全部?」
ベランダの希一の声が聞こえる。
「あら?お父さんのマットレスがないわよ?」
マットレスが、、、ない??
そんなことある?
「あぁ、でも、ピアノ間に合わない!急がなきゃ!」
自分のじゃないと分かると厳禁な娘である。
捜索の続きは、夜となった。
ベランダの向こうの暗闇にのまれてしまったのか。
愛しの三つ折り高反発マットレス。
ここまでないとなると。
空飛ぶマットレスになったに違いない。
- 空飛ぶ布団。
- 空飛ぶ毛布。
- 空飛ぶマットレス。
次に飛ぶのは、
ーーきっと私の心だ。
知らんけど。