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慣れというのは怖いものですね。
中学、高校、大学と部活を経験してきて、団体戦の応援もチームメイトの個人戦の応援もガンガンしてきた。
「小せぇぞ、1年!」
「はい!!」
特に大学なんて、顧問がいないのだから、先輩は神様みたいな世界である。
「ヤル気あんのかぁ!」
「すんません!!」
声出すのも、前に出て音頭を取るのも、完全に慣れてしまった。
声出してなんぼ。
応援とは、そういうもんである。
と、思っていた。
「お父さん。」
「はいよ。どうした。」
「サッカーの応援、声出さないで。」
なんでや、とは聞けなかった。
それ以上の言葉で拒絶されるのが怖かったから。
「わかった」
希一に続き、青葉もかぶせてくる。
「卓球の応援も、見てるだけでお願い」
団体戦で鍛えた声量。
応援団長経験(団体戦メンバーから外れた部長)。
音頭取り経験。
全無効。
まさか、子どもたち相手にデバフ封印されるとは思わなかった。
慣れというのは怖い。
そんなの応援じゃないのでは…。
と、一瞬思った。
いや、応援する側の自己満足なんだな、これは。
「了解」
大学時代、
「声出せー!」
と言われていた。
今は、
「声出さないで」
と言われている。
人生とは不思議なものだ。
私はマスクをして応援をしている。
眼差しだけ、コートに向けて。
たぶん今、日本で一番静かな応援団長だ。
知らんけど。