昔、キムタクが共演者にTバックをプレゼントしていたという話を聞いたことがある。
当時の私は、
「なんで?」
と思った。
今なら少し分かる。
下着にも世界があるのだ。
「友だちと私、少し悩みが違う」
そんなことを言い出したのは青葉だ。
「どうしたの?」
と亜弥が訊く。
「友だちは、色々言っても買ってもらえないんだって。」
「あぁ、なるほどね」
亜弥はもちろん、私は、もう察しがついてしまった。
だから、言わなくていい。
でも、止まらない。
「ちょっとでも『あぁいうのあったら便利なのになぁ』って私が言おうものなら、次の日には届いちゃう」
「お父さんの衝動買いたるや、ねぇ」
「そうそう、一番は卓球台」
「あぁ、そうだったわよねぇ。でもアレは…」
どんどん立場が悪くなっていってるので、お花でも摘みにいこうかと思ったくらいである。
取りあえず、聴覚をフェードアウトさせ、自分の思考に没頭することにした。
下着もそうだった。
亜弥は、あまり欲しいものを言わない。
珍しく言うものだから、探してしまったのが始まりだった。
トリンプ。
ピーチ・ジョン。
そしてワコール。
どうせ買うなら、普段亜弥が買わないような、でも買いたいようなものがいい。
で、色々調べてよさそうだったのが、ワコールのサルート。
初めて贈ったときはドキドキ。
「あぁ…ありがとう」
喜んでいるのか。
困っているのか。
私には判定できない表情だった。
けど、
もしかしたら、
まんざらでも、
ない?
みたいなので、だいぶたってからまた贈った。
そんなのがず~っと続いている。
結婚前の自分に言っても信じないだろう。
「お前、20年後には、サルートの新作見てるぞ」
と。
回し者?
えぇ。きっと。
ただ、俺は、はいたことないんですけどねぇ。
知らんけど。