「お父さん、倒立前転できる?」
中学生の青葉が聞いてきた。
体育でやるらしい。
「昔はできたよ。」
「今は?」
「やってみれば分かるな。」
ということで、リビングで挑戦することになった。
絨毯の上。
「首だけは折らんように。」
そう思いながら倒立して、そのまま前転。
なんとか成功。
「よし。」
と思ったら、
「お父さん、倒立3秒止まらないとダメだから。」
3秒?
マジか。
そこから何度も挑戦することになった。
上下逆さまになった世界の3秒って、長い。
息は上がるし、
腕はプルプル。
体育の授業というより、部活。
いや、筋トレである。
「3秒、むずいなぁ。」
と言うと、青葉が一言。
「お父さん、去年はできてたのにね。」
……え?
俺去年やってたん?
なんで試してるん。
聞けば、青葉が中学二年生のときにも倒立前転があって、そのときも挑戦していたらしい。
なるほど。
去年の自分と比べられるのって、
他人に負けるより効く。
一年で、子どもはできることが増える。
大人は、できなくなることも増える。
でも、今年も挑戦はできた。
3秒は止まれなかったけど。
知らんけど。